大判例

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東京地方裁判所 昭和33年(ワ)739号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告は被告の臨時の債権債務整理役兼相談役として給料一カ月金三五、〇〇〇円で雇傭せられ、被告の都合で解雇するときは三〇日以前の予告を必要とし、退職手当一万円を支払う約束があつた、しかるに被告の都合で解雇されたので退職手当金報酬残額の支払を求める旨主張した。被告は原告との雇傭関係の存在を否認し、被告は原告に対し訴外久我山病院に対する債権を取立を約二カ月で完了する約で報酬を金一〇、〇〇〇円と定めて委任したに過ぎない、原告の主張する仮辞令及び契約書は原告から弁護士の資格を有しない原告が債権取立の委任を受けることにより弁護士法に牴触することのないようにするため必要であると要望されて作成したに過ぎない、と抗争した。ところで甲第一号証の仮辞令と題する書面には、「原告に被告の整理兼相談役を命じ本給として毎月三五、〇〇〇円を給する」旨、甲第二号証の契約書には「退職手当金一〇〇、〇〇〇円は久我山病院への債権の返済確立と同時とする。」という記載がある。

判決は原被告間に契約が締結された経緯・契約内容について、(1) 契約の発端が、被告において原告の債権取立ての経験を頼つて久我山病院に対する債権の取立を依頼したことに始まつたこと、(2) 原告は取立期間を二カ月と見てその期間の生活の補償として毎月金三五、〇〇〇円の支払を要求し承諾をえたこと、(3) 債権金額取立てたときは金一〇〇、〇〇〇円、取立一部不能の時は双方協議の上一部減額する、(4) 原告の取立の方法・勤務時間、勤務の場所については格別の取定めも、被告からの指示もなく、一切をあげて原告の裁量にゆだねられていた、等の事実を認定して、両者間の法律関係を委任であると断じて原告の主張を斥けた。判決は雇傭と委任との区別の要点についてつぎのとおり説明している。曰く。

「民法の規定するところによると、雇傭は当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約し、相手方がこれにその報酬を与えることを約することによつて成立する契約であるのに対して委任は当事者の一方が法律行為(いわゆる準委任と称せられるものの場合においては法律行為でない事務)をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することにより成立する契約であるところ、委任においても受任者が受任事項を処理するにつき労務を提供することが必要であるが、それは契約の本質的内容をなすものでなく、委任者が受任者の人物、識見、及び技量に信頼してその自由裁量に従つて改定にかかる事項を処理してもらうことをまかすところに委任の要点があるものというべく、委任と雇傭とを識別する基準も主としてこの点に求められるべきものである。」

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